離婚は双方の合意があれば、どのような理由であっても成立します(協議離婚)。
では離婚について双方の合意がない場合、例えば妻が「性格の不一致」を理由に離婚を要求し、一方の夫は離婚したくないと考えている場合などにおいて、妻は調停や裁判によって離婚することができるでしょうか。
まず離婚調停は話し合いの場ですから、あくまで夫が離婚を拒んだ場合には、無理に離婚することはできません。この場合は調停が不調となりますから、それでも妻が離婚を望む場合には、離婚の裁判を起こす必要があります。
離婚の訴えが裁判所に提起されると、最終的には裁判官が諸条件を勘案した上で離婚の可否を判断します(裁判離婚)。裁判離婚が認められるための原因は法律で定められており、以下の5種類です。
- 不貞行為(民法770条1項1号)
- 悪意の遺棄(同2号)
- 3年以上の生死不明(同3号)
- 回復見込みのない強度の精神病(同4号)
- その他婚姻を継続し難い重大な事由(同5号)
よくご相談をいただく「性格の不一致」は、法定の離婚原因に明記されていません。 そこで、今回お困りになっている「性格の不一致」の程度や態様が、第5号「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するか否かについて、個別具体的な判断が必要となります。
性格の不一致が第5号に該当するとして離婚請求が裁判で認容されたケースもあるものの(東京高判昭54.6.21、横浜地判昭59.7.30)、反対に棄却されたケースもあります。個別の事例に応じた判断ですから、一見して分かりやすい基準というものはないように思います。
ただ第5号に該当するとされた「性格の不一致」以外の具体例として、激しい暴力や極度の性的異常などのケースがありますから(東京高判昭50.6.26、大阪地判昭35.6.23)、それとの均衡から考えると、性格の不一致といってもその具体的な態様は、かなり程度の強いものである必要があると考えられます。
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