内縁とは、婚姻届出をせずに事実上の夫婦として暮らす男女の関係をいいます。結婚式を挙げていても数十年一緒に暮らしていても、婚姻届出をしていなければ法律上の夫婦関係ではありません。
内縁の夫が財産を残して死亡した場合、内縁の妻は内縁の夫の財産を取得することができるでしょうか。
まず、内縁の妻は法定相続人ではありませんから、残念ながら法定相続分は無く、内縁の夫が有していた財産を相続人として受け取ることはできません。
また、内縁の夫が手がけていた事業を内縁の妻が支えていたような場合であっても、寄与分は法定相続人について問題となるものですから、寄与分を主張することもできません。
離婚の際の財産分与に関する規定を用いることの可否もかつては争われましたが、最高裁はこれを否定しました(最判平成12年3月10日)。一方配偶者の死亡の場合に問題となるのは相続制度であって、離婚の際に問題となる財産分与制度が問題となる場面ではないという判断です。
内縁の夫に法定相続人が一人もいなければ、内縁の妻は特別縁故者として遺産取得の可能性があります。とはいえ、特別縁故者は内縁の夫に子や親兄弟などの法定相続人が1人でもいる場合には認められないため、適用可能な場面が非常に少なくなってしまいますし、特別縁故者として認めるかどうかの判断は裁判所が行いますから確実ではないという点にも不安が残ります。
このように、内縁関係の相手方へ財産を残すための手段は非常に限られていますから、現状ではきちんと遺言を残しておくことが効果的といえます。
自らの死亡後に特定の相手方に自らの財産を贈与することを遺贈といい、遺言によって遺贈の意思を残しておくことが可能です。
注意すべき点は、遺贈の形式が遺言としての法的に有効な要件を満たしている必要があることや、遺贈の内容が法定相続人の遺留分を侵害しない必要があることなどでしょう。
こういったご心配の相談についても当事務所にて承りますので、まずはご相談頂ければと思います。
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